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ナノ炭素材の大規模シミュレーション

私は原子、分子が数百から数万個集まった自然界に存在する構造体(材料ではカーボンナノチューブ、フラーレン、生態ではDNAなど)の熱特性、機械特性、電子特性、構造安定性などの性質を調べ、さらにこれらの性質を利用して新奇構造体を作り上げ、材料や薬剤への産業応用につながるようなシミュレーションを目指しています。

原子数が数万個程度の構造では、その性質は元素の種類、原子の数、立体構造などに大きく依存するために、個々の状況から予想もできない結果が現れる面白さがあります。構造の詳細な性質によらない普遍的物理法則で扱えるような領域でないことが魅力でもあり、難しい領域です。

現在、計算機を用いて原子、分子の性質を明かす量子計算手法は大きく分けて、tight-binding(TB)法と第一原理法(ここでは密度汎関数理論(DFT)に限る)があります。DFTはある程度パラメーターを含み、実験などからその値を決めているため扱える元素に制限があるが、DFTと比べると計算量が比較的少ないために多粒子系の計算には必須な手法である。一方、DFT計算は多元素からなる体系の電子構造を詳細に調べる用途には重要な手法である。

私の現在の立場は、手法は現在あるTB(DFT)を用いて、未だ十分にその現象が把握できていない数万(数千)原子の原子・分子系のもつ新しい現象、新奇応用を見出すことです。そのためには、高速な大規模並列計算機と計算機のアーキテクチャーにあったコードの開発が必要不可欠となる。
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Fig.1: 地球シミュレータのスピード
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fig.2: CNTの熱伝導値
RISTはミシガン州立大学のTomanek教授と共同でTB手法のコードであるCRTMD()プログラムを開発し地球シミュレータのベクトル向きに最適化をしました(図1)。その結果、4万原子程度のCNTで*万MDステップの計算を達成でき、CNTの熱伝導値を得ることができました(図2)。さらに、フラーレンの熱分解(図3)、CNTの機械特性(図4)などの性質を得ることができました。さらにCNTから作るロープなどを提案しています。
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fig.3: フラーレンの熱分解
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fig.4: CNTの機械特性

最近、DFTコードとしてPWscf(Plane Wave, www.pwscf.org)のベクトル化、並列化を行い地球シミュレータ向きに最適化をしました(SR11000は進行中)。最適化では、FFT、固有値・固有関数の解法、波動関数の直交化の手法などの数学の取り扱いが高速な並列アルゴリズムには重要となります。この手法により、CNTに遷移金属を付けてそこにガス吸着を行うシミュレーション(図5)し、その吸着機構をD.O.Sの解析(図6)により明らかにしました。この計算は原子数が約百、MDステップは数百で比較的短時間の計算です。
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Fig.5: CNTに遷移金属を付けてそこにガス吸着を行うシミュレーション fig/006.jpg
Fig.6: D.O.Sの解析
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手島 正吾
(財)高度情報科学技術研究機構 (RIST)
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1964年千葉県生まれ、1996年東京理科大学理工学研究科博士課程修了、理学博士。 。(株)東芝で重電に従事、動力炉核燃料開発機構(現日本原子力研究開発機 構)で研究員を経て、2000年から、現職。 専攻は物性物理。現在、地球シミュレータを使い、ナノテク分野の材料、バイ オの大規模シミュレーションを実施。


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